熟年離婚は、人生の後半で新たな章を始める決断です。
そして、その決断に伴い、持ち家の分与という大きな課題に直面することも少なくありません。
長い年月をかけて築き上げてきた家は、単なる資産ではなく、思い出や愛情が詰まったかけがえのないものです。
熟年離婚において、持ち家をどう分けるかは、夫婦にとって大きなストレスとなる可能性があります。
しかし、適切な知識と方法があれば、持ち家の分与も円満に解決できるはずです。
この記事では、熟年離婚における持ち家の分与方法について、具体的なケースを交えながら解説していきます。
□熟年離婚における財産分与の対象と割合
熟年離婚において、持ち家を分与する際には、まず、財産分与の対象となる共有財産と、対象とならない特有財産を理解することが重要です。
1:共有財産とは
共有財産とは、夫婦が結婚生活の中で協力して築き上げてきた財産を指します。
具体的には、不動産(土地・建物)、家財道具、車、預貯金、株券などです。
これらの財産は、片方の名義であっても、夫婦の共有財産として扱われます。
2:特有財産とは
一方、特有財産とは、夫婦の財産として扱われないものを指します。
具体的には、結婚前に所有していた財産、結婚中に親から相続や贈与で受け取った財産などが挙げられます。
3:財産分与の割合
財産分与の割合は、一般的には2分の1ずつとされています。
しかし、夫婦がそれぞれどの程度財産の形成に貢献したのか、または、どちらか一方の特殊能力によって高額な財産が形成された場合などは、貢献度や能力を考慮して、2分の1とは異なる割合で分与されることもあります。
□熟年離婚での持ち家の分与方法
熟年離婚における持ち家の分与方法には、いくつかの選択肢があります。
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、夫婦の状況や希望によって最適な方法が異なります。
1:売却して現金で分ける
最も一般的な方法は、持ち家を売却し、その代金を現金で分与することです。
この方法のメリットは、明確な分与が可能な点です。
一方、デメリットとして、売却に時間がかかる場合や、希望する価格で売却できない場合などが挙げられます。
2:家の評価額の半分を現金で貰う
持ち家を売却せずに残したい場合、家の評価額の半分を現金で分与する方法も考えられます。
この方法は、夫婦のどちらかが住宅に残りたい場合に選択されることが多いです。
しかし、家の評価額が高額な場合、現金の準備が難しいケースも考えられます。
3:住み続ける方に譲渡する
持ち家を住み続ける方に譲渡する方法も選択肢の一つです。
この場合は、住み続ける方が、相手に家の評価額の半分を支払うか、または、住宅ローンが残っている場合は、残りのローンを負担することになります。
熟年離婚の場合、特に専業主婦(主夫)だった方が引っ越す際に、家探しや新しい生活に不安を感じる場合があるため、この方法が選択されることがあります。
□まとめ
熟年離婚における持ち家の分与は、夫婦にとって大きな決断です。
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、夫婦の状況や希望によって最適な方法が異なります。
大切なのは、夫婦間で話し合い、納得のいく方法を選択することです。
必要であれば、弁護士や専門家のサポートを受けることも検討しましょう。
持ち家の分与は、熟年離婚における重要な課題ですが、適切な方法を選択することで、夫婦が新たな人生をスタートするための礎を築くことができます。